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雷雨の日には

2008.10.28 - SS
暁灯里

雷には驚いたけれど、それ以上に驚いたのは・・・

買い物に出かけようかと外に出てみると、空は分厚い雲に覆われていた。

「ありゃ~・・・これは雨が降りそうですね。アリア社長」

空を見上げながらアリア社長に話しかけるのは、アリアカンパニー唯一の水先案内人。

「雨が降り出さないうちに買い物に行きましょうか」

念のため傘を持って、アリア社長に合羽を着せて。

準備万端、といわんばかりの笑みを浮かべ、灯里は外に出た。

 


買い物の最中、案の定雨は降り始めた。

「あー、やっぱり雨降ってきましたね・・・早く買い物を終わらせて帰りましょう」

店を出て空を見上げると、雨は少しずつ強さを増しているように思えた。
 

早くアリアカンパニーに戻ろうと、帰り道を足早に辿っていたとき、突然髪の毛を引っ張られた。

こんなことをするのはあの人だけ・・・そう思って振り向くと、やはりそこには一人の火炎之番人がいた。

「よう、もみ子。丁度今そちらに向かっていたところだ」

「暁さん!もみ子じゃないですし、引っ張らないでください!」

「なにをう?引っ張ってほしいといわんばかりの見事なもみ上げではないか」

また引っ張ろうとする髪を奪い返しながら灯里はたずねた。

「暁さん、今日はどうしたんですか?」

「うむ、火炎之番人の先輩に頼まれて買出しをしていたところだ。
ところが買い物を終えたときに雨が降ってきてな。
丁度近かったからアリアカンパニーで雨宿りをさせてもらおうと思ったんだ」

ちょっと先を見ると、アリアカンパニーは目と鼻の先。

「そうだったんですか・・・雨も強くなってきているみたいですし、急ぎましょう。どうぞ、入ってください」

そういって差し出したのは傘。暁は礼を言って入ろうとした瞬間、あることが頭をよぎった。

(・・・これって、俗に言う『相合傘』ってやつか・・・?)

なんて考えたら少し、いやかなり恥ずかしいかもしれない。

雨も降っているし、周りに人は居ない。これ以上雨に濡れるのも嫌なので背に腹は変えられない。

勧められたまま入り、身長差から自分が傘を持って、歩き始める。

(他のヤツとこんなことしてねぇよな?)

傘を持つといったときに軽く触れた手が熱いのと、いつもより鼓動が早いのはきっと気のせいだと思うことにした。

 

 

 

アリアカンパニーに着き、濡れた髪やらなんやらを拭いて。暖かいお茶を飲んで体を温めて。

そして、徐々に勢いを増す雨。強い風も伴い、土砂降りとなっていった。

「雨が一向に上がる気配が無いですね・・・なんか、気のせいか空からゴロゴロと音が聞こえますし。か、みなりなんて落ちませんよね・・・?」

灯里が「雷」と言うのをちょっとつっかえたことが何故だか引っかかった。

「なんだ、お前雷苦手なのか?」

「えっ!?いや、そそそそんなことないですよ!!?」

「ほぉ~、そうだったのか」

意外というかなんというか。なんでも楽しめる奴なのにとか思ってしまった。

「・・・なんというか、音とか、迫力がマンホームのものとは違って・・・」

そういった瞬間、辺り一面が一気に真っ白になった。

そしてそれから間を置かずに雷の落ちる大きな音が鳴り響いた。

(こりゃ近いな・・・)

雷は平気な暁だが、流石に今の雷には吃驚した。それほどまでに、音が大きかったのだ。

ふと、体に暖かくて柔らかいものがくっついていることに気がついた。

見覚えのある綺麗な桜色の髪の持ち主が、灯里が暁の胸に顔を埋めていた。

小刻みに震えて、暁にしっかりと抱きついている。

(えええええええええええええええええ!?)

頭が真っ白になりそうになった暁だが、先ほど雷が苦手だと灯里が話したことを思い出した。

(そうか・・・あんなに近かったもんな)

そう思いながら、そっと手を灯里の背に回す。

一瞬躊躇したが、やさしく、包み込むように抱きしめる。

なおも鳴り続ける雷の音。雷が落ちる度に体を震わせ、背中に回された手に力が入っているのが分かる。

そんな彼女を落ち着かせようと、暁は一定のリズムで軽く背中を叩く。

それに安心したのか、それとも次第に雷が遠くなっていったからなのか、背中に回された手に力が入ることは段々と無くなっていった。

 

 

すっかり日も暮れ、雨も上がったようだ。

ずっと腕の中に居た灯里に声をかける。が、反応は全く無い。

「?おい、もみ子?」

そして、聞こえたのは規則正しい寝息だった。

頬に涙の跡が残っていることから、きっと泣き疲れて眠ってしまったのだろう。

しょうがないので、3階の灯里の自室まで運び、ベッドに寝かせる。

涙の跡が残る寝顔に、何故か心がざわついた。

おそるおそるというのに近い感じで、頬に手をやり、そっと涙の跡を拭く。

「・・・俺様以外の男の前で、泣き顔なんか見せんなよ?」

他の奴には見せないでくれ。自分だけに弱さを見せてほしいと思った。

自分は何を考えているのだろう。まるで、こいつの『特別』になりたいみたいじゃないか。

そこまで考えて、気づく。

そうか。自分はこの水先案内人の『特別』になりたいんだ、と。

「今日はもう帰るが、今度逢った時覚悟しとけよ」

寝ているので聞こえてはいないだろうが、そう言い残してアリアカンパニーを立ち去った。

 

 

家まで帰る途中、どうやって鈍感な彼女にアピールをしていこうかと考える暁だった。
 


後書きと言う名の言い訳
私も雷は苦手な方です。・・・というか、大きな音が。
暁さん自覚話。自覚したり、ちょっと寝込みを襲うとかいう話が思いつきます。
はい、ここ突っ込むところ(笑
相変わらず支離滅裂な文、すみません。
最初考えていたものよりもちょっと長くなってしまいました。
というか、特に何も考えないで書き始めたんですよね・・・
計画性が無さ過ぎる\(^0^)/
てかいつの間に灯里視点→暁視点に・・・あるぇー?

書き終ってから某様とネタ(雷雨)がかぶっていることにきがついた/(^0^)\
本当にすみません・・・俺はいっぺん死んでしまえばいいと思うよ・・・
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